三鷹の守り神
この町を好きになるのに時間は掛からなかった。
ビルの隙間から覗く繁華街。
小川のせせらぎ。並木路。
6階建てのマンション。
自転車で疾る大男。
降り始めた雨が物語の始まりの合図。
ファミマで買ったジャンプ傘。
スマホを連打する老夫婦。
仕事終わりの大男。
現れた黒い森。
時間が止まったような不思議な森。
雨すら遮る樹々の下を、トトロの歌を口ずさみながら歩く。
老人達は、テニスに興じている。
小道を抜けた先。
ジブリの世界観が渋滞したような巨大な建築物を下から見上げる(入場料千円)。
ねこバス。螺旋階段。
仕事部屋。井戸ポンプ。
笑う娘。泣く娘。
一人で写真を撮る男(ごめんね)。
屋上の守り神はその目に何を見ているのだろう。
この町の1%も僕は知らない。
どこか懐かしい町。
この町を好きになるのに時間は掛からなかった。
アディオス。
追伸
この町に住む大男。
心の小さな大男。
本当は優しい大男。
どうか幸せが訪れますように。